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運動には動脈硬化を防ぐ効果があることがわかっています。しかし、運動の仕方を間違えてしまうと、疲労が溜まって継続ができなくなってしまうこともあります。疲れを溜めずに効率よく運動の効果をあげるにはどうすればよいのでしょうか。動脈硬化の進行を防ぐ適切な運動について紹介します。
体力の維持や向上のために意図的に行う「運動」と、仕事や家事など、生活するうえでの全ての動き(生活活動)を合わせたものを「身体活動」といいます※1。
身体活動を増やすことは、血圧の低下や体重、体脂肪、腹囲の減少、2型糖尿病発症予防、血液中の脂質改善など、さまざまな生活習慣病の予防、改善に効果があることがわかっています※2〜5。
そのなかでも効果があるのが持続的な有酸素運動で、早足での歩行やステップ運動、ジョギング、ランニングなどが推奨されています※2、5。
運動習慣をつけることは、動脈硬化の原因となる生活習慣病を防ぐことにつながります。しかし、これまで運動習慣がなかった人がいきなり毎日つらい運動をするのは難しいかもしれません。まずは毎日10分ずつ長く歩くようにするからはじめ、次は、1回30分以上の運動を週2回行うなど※1、ステップアップをしていくことで持久力がついていきます。
すでに生活習慣病がある人の場合、ウォーキングやそれと同じ程度の運動を30〜60分、週3回以上行うようにしましょう※1。
さらにその効果をあげるために重要なのが身体活動の強さ×行った時間です。楽な運動は疲れにくいため長い時間続けられますが、時間をかけても効果は得にくく、激しい運動ではすぐに疲れてしまい長く続けられません※6。
そこで、一般的に「ややきつい」運動といわれる、軽く汗ばむ程度のウォーキングを行いましょう。前をみて姿勢よく普段よりもかかとひとつ分(約7cm)大股で速く歩くことを意識することが大切です※7。
ただし、病気がある人の場合は運動によって急に血圧が上昇したり、不整脈を起こしたりするなどのリスクもあります※1。運動量についてはかかりつけの医師に相談しましょう。
しかし、これまで運動習慣がなかった人の場合、ゆっくりした歩行でも「ややきつい」と感じるかもしれません。最初から無理をせず、まずはその人にとって「ややきつい」と感じる運動からはじめ、徐々に運動の強度を上げていきましょう。体力がついてきたら、それに合う「ややきつい」と感じる運動を継続していくことがポイントです。
「ややきつい」と感じる有酸素運動が最も疲れを残さずに効率的にエネルギーを消費でき、全身の持久力を高めるといわれています。全身の持久力が高い人は、高血圧や糖尿病の発症率が低いという報告もあり※8、9、有酸素運動運動の継続が動脈硬化の原因となる病気の予防にもつながります。
参考資料
※6 中田由夫、宮地元彦:特定保健指導における運動指導(ポイント・効果),肥満研究,19(2):84-94,2013.
※7 宮地元彦:たったこれだけで血管は強くなる.日本文芸社,22-23,2012.
監修:宮地 元彦 先生
早稲田大学スポーツ科学学術院教授
鹿屋体育大学スポーツ課程卒業後、川崎医療福祉大学助教授、米国コロラド大学客員研究員を経て、国立健康・栄養研究所健康増進研究部、身体活動調査研究室室長に着任。同部長などを経て早稲田大学スポーツ科学学術院教授に就任。厚生労働省健康日本21最終評価チーム構成員、運動基準・運動指針改定のための検討会、スポーツ庁運動・スポーツガイドライン策定検討会委員などを歴任。日本学術会議会員。