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「沈黙の殺人者」と呼ばれる理由

さまざまな病気を引き起こす動脈硬化ですが、いちばん恐ろしいのは「気づきにくい」ことです。生活習慣病や加齢により、動脈が硬くなっても自覚症状がなく、症状が出たときにはすでに重症化している人も少なくありません。気づかぬうちに生命に影響を及ぼす大きな病気を発症させるため、動脈硬化は「沈黙の殺人者」といわれています。

日本人の死亡と要介護の原因

下のグラフは日本人の死亡原因の内訳です。動脈硬化が発症の原因とされる脳血管疾患、心疾患をあわせると、それだけで死因の2割以上を占めています。

主な死因の構成割合(令和2年(2020))

65歳以上の要介護者等の性別にみた介護が必要となった主な原因

また、介護が必要となった原因の約2割が脳血管疾患や心臓病などです。これらの病気にも動脈硬化が大きくかかわっています。高齢化が進む日本において、動脈硬化をいかに防ぐかは、個人にとっても社会にとっても大きな課題であるといえるでしょう。

生活習慣病を見逃さないことが重要

生活習慣病が社会的な問題となっているのも、その先に動脈硬化があり、さらにその先の死に直結する病気へとつながるからです。

すでに生活習慣病を発症している人、その境界線にいる人は、「沈黙の殺人者」に狙われているといえます。血圧や血糖値、脂質異常などのサインを見逃さず、早く手を打つ(=生活習慣を改善する)ことが大切です。また、動脈硬化は加齢も要因のひとつとなります。普段から血管の状態をチェックしておくことも重要なポイントといえるでしょう。

家庭で毎日リスク管理を

動脈硬化は「沈黙の殺人者」といわれますが、高血圧や高血糖、脂質異常症など、動脈硬化を進行させる兆しは数値として現れます。

家庭でできる健康管理のひとつが血圧測定です。健康診断などで血圧が高めといわれた人は、毎日家庭で血圧を測る習慣をつけましょう。血圧は1日のなかでも変動するため、朝や夜寝る前など、決まった時間で測定して記録をつけるとよいでしょう。

また、動脈硬化を進行させないためには日常のケアも大切です。食事や運動内容を記録しておくことで、自分の生活を振り返るきっかけにもなります。

たとえば、脂質異常症の場合、運動療法として中強度以上の有酸素運動を中心に、毎日合計30分以上を目標に行うことが推奨されています。通勤や買い物で少し早く歩くだけでも運動になります。早歩きを意識してどのくらいの時間歩いたのかを記録し、30分に満たない場合には遠回りして帰るなどの工夫をしましょう。そんな小さな努力の積み重ねが動脈硬化や生命を左右する病気の発症リスクを下げることになります。今日から血管をしなやかに保つ生活を心がけましょう。