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健康コラム

新型コロナウイルス感染症と動脈硬化

動脈硬化症
2022年12月22日
動脈硬化net 編集部
動脈硬化net 編集部

新型コロナウイルス感染症と重症化リスクの高い基礎疾患

2020年から世界中で流行が続く新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、さまざまな合併症が出ることも知られており、注意が必要なものとして、血栓症や心筋炎、たこつぼ心筋症などが報告されています。また、高齢者や基礎疾患を持つ人の重症化リスクが高いことがわかっています※2(図1)。

また、新型コロナウイルス感染症にかかった一部の患者さんで、疲労感や倦怠感、関節痛、筋肉痛、咳、痰、息切れなどが2か月以上続く後遺症(post-COVID-19 condition)によって日常生活に支障をきたすケースも報告されています※1

図1 新型コロナウイルス感染症の重症化リスク※2

基礎疾患である慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管疾患、肥満(BMI30以上)、喫煙は、全て動脈硬化を促進する要因です。重症化予防のためには十分な感染症対策をとるとともに、基礎疾患の治療を継続することが重要となります。

●新型コロナウイルスと糖尿病の最新情報

糖尿病は、新型コロナウイルス感染症のかかりやすさとは大きく関係しないものの、発症した際に重症化しやすいといわれています※3、4。ただし、血糖コントロールができている人であれば、糖尿病がない人と死亡率は変わらないという報告もあるため※5、適切な治療を受けて血糖コントロールをしっかり行うことが重症化や死亡を防ぐことにつながると考えられます。

また、外出自粛に伴い、自宅での酒量の増加が指摘されました。多量飲酒は、高血圧の原因となって動脈硬化に伴う病気のリスクを高めることがわかっています。また習慣的な飲酒はなくても、短時間に大量の飲酒をすると虚血性心疾患による死亡リスクが高くなります。飲酒はエタノール換算で25g/日以下(日本酒1合またはビール中瓶1本相当まで)にとどめましょう※6

外出自粛時でも受診による治療継続が重要※6

新型コロナウイルス感染症の流行拡大を防ぐ対策のひとつとして、在宅勤務が推奨されました。 しかしながら、動脈硬化の原因となる生活習慣病の予防、改善には運動を含む身体活動が重要といわれています。在宅勤務によって外出機会が減少すると、運動不足になりやすいことから、感染対策をとったうえで、運動の時間を確保することが重要となります。

また、感染拡大に伴う外出自粛、交通機関による移動時や医療機関での感染を懸念して受診控えなどの問題も指摘されました。動脈硬化を促進する生活習慣病は、継続的な治療が重要です。受診控えは、治療自体の中断につながる恐れがあります。待ち時間が短く、待合室での感染リスクが抑えられる予約診療やオンライン診療などの活用も含めて検討し、受診控えにならないように注意しましょう。


参考資料

※1 厚生労働省:新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識(2022年8月版)

※2 厚生労働省:新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き 第8.0

※3  Fadini GP, Morieri ML, Longato E, Avogaro A. Prevalence and Impact of Diabetes Among People Infected With SARS-Cov-2. J Endocrinol Invest (2020) 43(6):867–9.

※4  CDC COVID-19 Response Team. Preliminary estimates of the prevalence of selected underlying health conditions among patients with coronavirus disease 2019-United States, February 12-March 28, 2020. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2020;69 (13):382-6.

※5  Lihua Zhu.et al: Association of Blood Glucose Control and Outcomes in Patients with COVID-19 and Pre-existing Type 2 Diabetes, Cell Metab. 2020 Jun 2;31(6):1068-1077.e3.

※6 日本動脈硬化学会:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版


監修:岡村 智教 先生
慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学

筑波大学医学部卒業。大阪府立成人病センター循環器検診科、滋賀医科大学福祉保健医学講座助教授、国立循環器病センター予防検診部長などを歴任し、2010年に慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教授に就任。健康日本21(第二次)推進専門委員、動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版作成委員長などを務めた。